化粧品は中身の使い心地や香りはもちろんのこと、素敵なデザインの容器が一体となって初めて魅力的に輝きますよね。しかし、近年の化粧品容器の調達リードタイムはまるで長い渋滞にハマっているかのようで、以前のリードタイムにまではなかなか短縮されない状態が続いています。なぜこうなってしまったのかを背景を探るとともに、ODMメーカーが出来ることを考えてみました。
1.容器のリードタイムの現状と背景
現在、化粧品容器の調達リードタイムが数年前と比べて、どんどん長くなっているなぁと感じているご担当者も多くいらっしゃると思います。多少の前後はあるものの数年前の1.5ヶ月~2ヶ月に比べると、3ヶ月~4ヶ月とかなり長くなっています。延長し始めた当初は一時的な状態と考えられていましたが、現在ではこのリードタイムが定着しつつあります。当時、その背景にはインバウンド需要の増加、大手化粧品メーカーが製造拠点を海外から国内に移行したことによる各社容器メーカーにおいて、生産が追いつかなくなりパンク状態に陥ってしまったことが主な原因だと言われていました。その後、コロナ禍でインバウンド需要は大幅に減りました。コロナ明けの現在は海外からの観光客が戻ってきてはいますが、以前のような爆買いは見られず、コロナ禍前の国内化粧品市場規模のレベルには戻っていません。また、当時と比較して大手容器メーカーは設備投資により生産能力を向上させています。それなのに、化粧品容器のリードタイムが未だに3ヶ月~4ヶ月で定着してしまっていることに納得できないのは私だけでしょうか?疑問に感じたので調べてみることにしました。
2.主な要因
1)化粧品容器の素材変更
化粧品容器において、ガラス素材はまだまだ根強い需要があるものの『重い』、『割れる』といった理由などからガラス瓶を樹脂ボトルに切り替える傾向が増加しています。ガラス瓶は生地瓶の在庫を持ち、顧客からの注文に合わせて印刷や塗装などの加飾を施して製品化するのが主流なのですが、樹脂ボトルは顧客から注文が入ってから樹脂原料(マスターバッチ)の調達、成型、加飾という工程を踏むため受注後の工程が長くなります。また、ガラス瓶と樹脂ボトルの加飾ラインは別に設けられているため、樹脂ボトルのラインに生産が集中することで更にリードタイムに影響を与えています。2)小ロット化の進行
以前、化粧品メーカーは製造原価を抑えるために大量生産をして在庫を持つように運用する会社も多かったのですが、現在は需要予測に合わせて必要な数量を生産して在庫を極力持たない体制に変わってきています。この影響を受けて容器メーカーへの発注も以前より小ロットが増えてきています。容器メーカーでは小ロットで生産する場合、大ロット生産と比較して当然生産ラインの切り替え回数が多くなります。限られた稼働時間のなかで切り替え時間の占める割合が増えるとその分日産数が減り、結果的にリードタイムに影響を及ぼしてしまいます。3)働き方改革の影響
働き方改革や人手不足もリードタイムに影響を与えています。以前は化粧品業界に限らず世の中の風潮として、残業をしてでも仕事をするのが当然だという雰囲気だったのですが、働き方改革の導入により各社ともに極力残業を減らす体制に変わりました。更に昨今の人手不足の問題が重なり、2交代や3交代で工場を稼働させることが難しい状況となっています。
3.ODMメーカーが出来ること
このように時代の流れとともに、化粧品を開発・製造する市場環境も変わってきています。とは言え、お客様のご要望に少しでもお応えし、お役に立てるよう我々も努力し続けていきたいと考えております。例えば、一番リードタイムがかかる容器のパーツの先行手配や、市場状況をいち早くキャッチしてお客様に届ける姿勢や努力を怠らないなど、そういったことから皆様に安心して商品を届けていきたいと考えております。
1)先行発注のご提案
容器の先行発注(生地容器や転写箔などの一部)をご提案させていただくことにより、製造時に必要な容器が確保できるためリードタイムの短縮につながります。
2)市場状況の情報提供
最新の市場状況を把握し収集した情報をお客様に発信させていただくことと、定期的にご発注いただいている商品については容器調達のリードタイムを踏まえた発注予想時期をご案内するなど、適切な発注タイミングを予測し計画的な容器調達のサポートをさせていただきます。最後に、化粧品容器の調達リードタイムが延びている背景には様々な要因が絡んでいますが、私たちODMメーカーはその中でもお客様に寄り添い、最適な解決策をご提案することで少しでもリードタイムの短縮に貢献できると考えております。変化する市場環境に対応しお客様のご期待に応えられるよう引き続き努力を重ねて参りますので、是非ともご期待ください。